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モロッコの砂漠に行こう(6) |
とにかく、走る、走る・・・ |
エルフードの町を過ぎると、やがて道が無くなってしまいました。 もはや砂漠のど真ん中。 どこを走ってもかまいません。 |
やはり、ランドクルーザーは早い、早い。 砂埃を巻き上げて疾走していきます。 軽く追い抜かれてしまいました。 こちらの非力なミニバンと比べるとパワーが違います。 これが格安ツアーと普通のツアーの差なのです。 |
そして現れたメルズーガの大砂丘。 平原の中にぽつんとそびえ立っています。 どうやら砂丘というのは局所的に点在し、サハラ砂漠と言えど、大部分は起伏のないだだっ広い平原が広がっているそうです。 風によって堆積した砂の集まりと言っても良いでしょうか。 意外と希少なものなのですね。 よって、鳥取砂丘と原理は何ら変わらないのですが、その規模はまるで違います。 夕陽に赤く染まるその大砂丘・・・これこそイメージしていた砂漠の風景です。 ここからラクダに乗り換えて、あの砂丘の中に入っていきます。 |
砂漠とラクダと月・・・ |
残照の砂丘。 キャンプ場まで一時間ほどかかります。 |
太陽と入れ替わるかのように月が煌々と砂丘を照らし始めました。 月夜の明るさよ・・・ まるで別の次元が始まったような感覚に陥ります。 イスラムが太陰暦を用いているのも、この月の明るさがあるからなのかもしれません。 |
露営地に到着すると、ラクダ使いの人々はすぐに料理の準備を始めました。 我々はその間、テントの中で就寝の準備です。 一つのテントで10人ほど寝られそうです。それがいくつか並んでいます。 私たちはテントの中の片隅に、二人分の寝床を確保しました。 備え付けのマットと毛布を引いて、天上にペンライトを吊るします。 あとは食べて寝るだけ・・・ 意外にも寒くなく、むしろ心地よいほどでしたので、野外でありながらもゆっくり寝られそうです。 |
夕食は、やはりタジンでした。鶏肉が無造作にのっけられています。 やはり、味付けは例の味・・・ でも、今晩は違います。なんと、キムチがあるのです。 実は道中、韓国のお父さんに「もうモロッコの料理に飽きました。キムチが食べたいです」と (半ば意図的に)愚痴をこぼしたところ、喜んでキムチを譲ってくれたのです。 「本当によいのですか?」と聞くと、「大量に持って来ているからかまわない。二人で食べなさい」とのこと。 韓国の方はキムチ専用のボストンバッグを持参しているのですね。 昨晩、垂唾のまなざしで見ていた真空パックのキムチが目の前にある・・・ 写真の色はまさに「記憶色」 日本人二人には、これだけが輝いて見えていました。 満点の星空、憧れの砂漠、そしてキムチ・・・至福の時。 |
料理のあとは、ベルベル人による民族楽器の披露が始まりました。 白人たちは毛布にくるまりながら聞いています。 まだ寝るまでは時間がありますので、私たちは砂丘に登ってみることにしました。 大きな砂丘です。登っても登っても、砂しか見えません。 しかも、足を取られて何とも歩きにくい。 靴の中は砂だらけになってしまいました。 頂上に到着すると、遠くに町の明かりが見えました。 町は意外に近い・・・メルズーガという名称も実は町の名前なのですよね。 眼下に響く太鼓の音を聞きながら、満点の星空を仰ぐように大の字になって寝ころびました。 |
ラクダのいびきで寝られない私・・・ テントの中はいたって静かなのですが、テントのシートを挟んだすぐ横にはラクダが寝ていたのです。 いびきはするし、寝返りはうつし、屁をこくし、口をもにゃもにゃさせているし、くしゃみはするし、時々鳴く(寝言?)・・・ こういう時は先に寝てしまった人が羨ましいです。 白人たちは寝ているときも静かです。 結局、夜通し砂丘をうろついていました。 テントのシートを見つめるよりも、夜空を見上げているほうが良いですね。 やがてうっすらと空が明るくなってきました。 当たり前ですが、雲ひとつありません。 足元には見事な風紋がどこまでも続いています。 と、そこでふと露営地を見下ろすと、なにやら出発準備を始めている様子。 一緒にやってきた旅行者が丘の上で三脚を構えていたので、すっかり安心していました。 後で聞いたら、彼はメルズーガから別行動をする予定だったのです。 「これはまずい・・・」 急いで下山しました。 しかし、ここは砂丘、降りにくいのなんのって・・・ |
下に降りると、私の荷物は既にまとめられていて(荷物と言っても軽量のリュック一つですが)、ラクダの横に置かれていました。 さっきまでの静けさは一体どこに行ったのだろうと思うほど、騒然としています。 そして、旅行者は皆、ラクダにまたがっていました。まさに間一髪です。 慌ただしくも、日の出を待たずして出発。 一番高い丘の上で御来光を拝む算段だったのですが、ちょっと日の出が遅すぎたようです。 結局、ラクダの背中の上で夜明けを迎えることになりました。 月の世界から日の世界へ、神秘から現実へと変わる瞬間です。 ラクダの脚の影が幾本も谷の底まで伸びてゆきました。 |
さっき丘の上にいた旅行者も降りてきて、カメラをこちらに向けています。 CanonEOS5Dが2台にレンズはそれぞれEF24-70F2.8LとEF70-200F2.8LIS。 もしかしたらプロのカメラマンなのかも? しかし、どうやって帰るのでしょうね。 |
このツアーが急いでいるのは、今日中にマラケシュまで帰らなければならないからです。 二日かけてやってきた道を一日で帰ろうとするわけですから、相当急がなければなりません。 全く観光無しでマラケシュに着くのは深夜2時位。ちょっと無理がありますね。 度重なる寝不足で、これはしんどいなと思いました。 ここでツアーから離れてしまうか? エルフードという町からバスに乗って北の町・フェズまで行くことも可能です。 それなら10時間もかかりません。 確かにマラケシュに戻ってもう一度スークを見てみたい気持ちもありました。 なによりも市場も開いているかもしれない・・・まだまだ堪能しきれていなかったのです。 もう一人の日本人(Mさんと呼ぶことにします。)も、迷っている様子。 それでもやっぱり一つでも多くの町を訪れたかったし、ルート的にマラケシュまで戻るのはちょっと非効率です。 え〜い、フェズまで行ってしまえ! 結局、ツアー脱退組は、キムチをくれた韓国の李さん・金さん夫妻とMさんと私の4人となりました。 時間のある欧米人は、とりあえずマラケシュに戻ってから考えるというスタンス。羨ましいですね。 東洋人は忙しいのです。 |
エルフードに着くと、ガイドがバスのチケットを手配してくれました。 年末年始ということもあり、もしかしたら満席かもと言っていましたが、なんとか取れました。 これでフェズに行けます。 そして、お世話になったツアーと分かれ、4人で食事にしてからフェズに向けて出発。 バスの座席は随分狭いですね。これで10時間弱。 |
ひたすらこんな道を走ります。 |
まるでオーストラリアを思わせるような風景ですね。 |
途中、バスが故障してどうなることかと思いましたが、一時間後に修理完了。 着実にフェズに向かっています。 また明るい月が昇ってきました。 |
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